親知らず抜歯の
副作用と注意点Cautions
親知らず抜歯の
リスクについて
体の自然な反応として、抜歯後には腫れや痛みが出ます。
すべての歯の抜歯では歯肉を切るなどの外科的な処置を行います。体は切開されると治ろうとするため、必ず炎症が起こるのです。
特に親知らずは、歯ぐきの切開だけでなく親知らずのまわりの骨を削ることもあり、炎症が出やすいものです。まっすぐに生えている親知らずであれば炎症はそれほど強くありませんが、曲がって生えたり埋もれている親知らずの場合は外から見てもわかるほど強い炎症が起こることもあります。
当院では痛みや腫れをできるだけ抑えられるように、以下のような配慮を行っています。
痛みや腫れ、不快感を
減らすための当院の工夫
- ① 表面麻酔を行い、麻酔の痛みを最小限に抑える
- ② 極細の麻酔針を使い、人肌くらいに温めた注射針を使うことで、注射の痛みと違和感と減らす
- ③ 麻酔の効果を引き出すための技術をもつ医師が担当する
- ④ 高水準の切削器具を使い、歯や骨を削る時の不快な振動をできるだけ抑えるとともに短時間で処置を済ませる
抜歯後の炎症を
抑えるための当院の工夫
- ① 切開は最小限にする
- ② 骨の削除も最小限にする
- ③ 抗生物質や鎮痛剤を手術前と手術後に投与
- ④ 歯肉に炎症がある場合は処置後、抜歯を行う
親知らず抜歯の
副作用について
▶炎症
抜歯後は炎症が起きるため、痛みや腫れが続くことがありますが、1週間ほどかけて徐々におさまります。特に下の歯を抜いた場合は炎症が起こりやすく、顔が腫れる、頬に内出血が起こる、口が開きにくくなるといったこともあるでしょう。強く腫れている場合は、ぬれタオルなどで冷やしてなるべく安静に過ごしましょう。まれに炎症が喉にまでおよび、食べ物を噛んだり飲み込んだりするのが痛くなることもあります。
▶出血
抜歯後はガーゼやティッシュを噛んで傷口を止血します。通常は数時間で止まりますが、出血が続く場合はすぐにご連絡ください。
▶感染症
抜歯後に感染が起きて痛みや腫れが長引くことがあります。食後はしっかりお口をゆすぐなどして、抜歯した穴周辺を清潔に保ちましょう。また強い刺激を与えないことも大切です。抜歯後2~3日は患部に歯ブラシを当てないように気をつけましょう。
▶ドライソケット
抜歯した穴は、通常血で覆われてかさぶたのようになります。強いうがいや喫煙などの影響で、骨の上で血液が固まらずに骨が露出してしまった状態がドライソケットです。骨がむきだしになっているため、食べ物などが穴に入ると強い痛みを伴います。
▶手前の歯が痛む
親知らずを抜歯すると、それまで親知らずと接していた手前の歯の根が露出して痛みが出る場合がありますが、抜歯後の穴が閉じるにつれて症状が治る傾向にあります。
▶口内炎
抜歯のストレス、手前の歯の形、食生活の変化などが原因で口内炎ができることがあります。通常1~2週間で治りますが、気になる場合は口内炎のお薬を処方することも可能ですのでご相談ください。
▶下歯槽神経麻痺
下顎の親知らずを抜歯した際に、下顎の骨の中を通る神経が、炎症反応や損傷、圧迫によって麻痺した状態です。親知らずの抜歯後、麻酔が切れているにも関わらず、下唇や歯ぐき、顎先の感覚が鈍ったり、軽くしびれたりする場合は、下歯槽神経麻痺の疑いがあります。
▶舌神経麻痺
舌神経は下顎神経から分岐して、舌までつながる神経です。抜歯の際に舌神経を痛めると、舌に痺れや味覚障害が起こることがあります。
▶上顎洞穿孔
上の親知らずを抜いた際に、上顎桐に穴があいて鼻腔まで貫通することを上顎洞穿孔といいます。水や空気が鼻から漏れる場合がありますが、小さい穴の場合は自然治癒します。自然治癒が期待できない大きな穴は閉鎖手術が必要です。
親知らず抜歯後の
注意点
▶お食事について
傷口が安定するまでは硬いものや辛いもの、刺激物のご飲食はお控えください。特に手術当日は柔らかいものを召し上がるようおすすめいたします。また痛みがある場合は、抜歯していない側で噛むようにましょう。
▶飲酒・喫煙について
飲酒・喫煙は合併症のリスクを高めます。抜歯後1週間はお控えください。
▶歯磨きについて
傷口に触れないように気をつけながら、手前の歯まで磨きましょう。抜歯した部分以外は、いつも通り歯磨きを行っていただけます。また食べかすなど汚れが溜まると痛みや腫れがおさまりにくいため、清潔にするよう心がけてください。ただし痛みや腫れが大きく口が開きにくい場合は、無理に磨く必要はありません。
▶うがいについて
抜歯後の運動や入浴は血行を促進するため、止まりかけていた血が出てきたり、腫れがひどくなることがあります。抜歯当日は汗をかくような運動は避けて、シャワー程度にすませてください。